記憶が失くなる前に

メンヘラ推奨派

僕のたからもの

僕のたからものは、クリスマスプレゼントに貰ったクマのぬいぐるみだ。
でかけるときもご飯のときもずっと一緒だった。

『僕ちゃん、もう9歳でしょ?いつまでぬいぐるみ持ってるの、みっともないからやめなさい』

そうお母さんに言われて、いっときも離さなかったぬいぐるみを離さざるを得なかった。

最初はとても寂しかった。
寝るときもクマがいなくて
おでかけのときも
ご飯のときも


でも18歳になった僕は

「そんなときもあったなぁ」

と、呟くだけであった。